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『本日1300時より、各拠点に最新鋭MSを配備する。それと共に、近接戦闘兵器を本格導入する。地球連邦の攻勢が強まっている今こそ、我ら選ばれたるジオン公国国民の更なる奮起を期待する!』
ジオン公国広域公用回線全チャンネルに参謀本部からの通達が流れた。
話によると、今回の発令は我が軍にだけでなく、連邦に向けても流されたという。
プロパガンダ放送の類だろうと高をくくってみたが、実戦配備された機体は、期待したもの以上の最新鋭機だった。
MS-06S、MS-06D、YMS-09、MS-09、MSM-04、MSM-07・・・。
我が軍の技術の粋を結集したと形容しても差し支えのない程の豪華な量産体制に、オレはただただ息を飲むばかりだった。
だが、最新鋭機は、同時にパイロットの熟練技能を要求する。
オレの技能では、YMS-09がいっぱいいっぱいだ。
もっと鍛えなければ。
そんな思いが、オレを戦場へと駆り立てる。
愛機MS-06に配備されたばかりの近接戦闘兵器ヒートホークを実装させ、連邦の斥候部隊の真っ直中へと切り込んでいく。
・・・!
既に見慣れた感のあるRGM-79の腕には、ビームを収束させたような光剣が装備されていた。
しかも、今までのような各個攻撃ではなく、数機が連携をしながらこちらを追いつめてくる。
攻撃力も増しているようだ。
焦りが水滴となりオレの背を伝う。
GMを数機叩き切ったところで、ヒートホークが作動しなくなった。
咄嗟にマシンガンを手にするが、当たらない。ヤツら、機動力も上げてきてやがる。
いや、マシンの性能ではないな。ヤツらの腕が着実に上がっているのだ。
オレは、ザクの限界を自分の身をもって知ることとなったようだ。
撃墜される前に、市街地へと撤退する。
決意を固めるためだ。

UC0079/11/15、22:00。豪州大陸の西端にある地球連邦軍の拠点都市パース近郊にオレ達はいた。
我がジオン軍の一大侵攻作戦『ドム&ズゴなしでもパースを完全制圧!』が秘密裏に進行していたのだ。
作戦遂行のため、今朝未明、オレ達は、パース北部の友軍最前線拠点に静かに舞い降りた。
この地には、我が公国軍が誇る陸戦艇ダブデが配備されている。
豪州大陸の西端は太平洋やインド洋に通じる海上の要衝だ。そのため、我らも死守せねばならぬ。もっとも、それは敵にしても同じ事なのだが。

21:30。キャンプ地でじっと息を殺してきた同士達が、徐々に集合し始めていた。
なんと言っても総力戦だ。まだまだ新兵気分が抜けていないが、戦いの中に身を置くのなら、せめて敵に一撃たりとも浴びせたい。
そして、パースの街に、我らが公国旗を打ち立てるのだ。
我が部隊の専用回線が進軍開始を告げる。
同時刻、公国軍専用回線もまた進軍開始の暗号電文が流れていた。
隊長機を先頭に、夥しい数の友軍機が荒野を駆け抜けていく。
見る者を圧倒するであろうその様は、まさにジオンの魂を具現化していた。

時折レーダーに散見される敵機は、尽く撃墜されていく。
しかし、友軍部隊の進軍が長く伸びすぎている。退路を断たれたら、この作戦は負ける。
そんな懸念をも抱きつつ、連邦軍駐屯キャンプに侵攻を試みる。
だが、それは、悪夢の始まりだった。
大規模作戦に初めて参加したオレは右も左も分からず、所属部隊機をも見失いながら、いつの間にか最前線へと躍り出てしまっていた。
コンソールに赤いALERTの文字列が矢継ぎ早に刻印される。
そうしてオレは、オーストラリア大陸の西端で、敵に一矢を報いることもなく愛機を轟爆させた。

撃墜、四度。オレの脳裏に悔恨の念が沸き起こる。
昨日も、オレは練熟度を上げるため、敵軍の真っ直中に身を躍らせた。
MS-06系の中でも、最も機動力に優れる機体の一つであるMS-06FZ。
最高にしっくりくる、オレの相棒だ。
敵の攻撃をかいくぐり、GMの土手っ腹にマシンガンの弾丸を叩き込む。
包囲の輪をかいくぐり敵MSの背後に回り込んでの一斉掃射。
日毎に、自分の腕が上がっているようにも感じられる。
しかし・・・。それは錯覚だったのかもしれない。
そう。それはパイロットの腕ではなくモビルスーツの性能のお陰だったのだと、今更ながらに知ることとなったのだ。
包囲網が狭められているのは感じていた。
機体への着弾が嫌な振動を伴って伝わってくる。
ダメージを示す数値が見る間に上昇し50%を超える。
相変わらず緊急リペアが上手くいかず、ダメージは確実に蓄積されていった。
「南無三!」
祈るような気持ちでリペアキットを始動し続ける。
しかし、敵の攻撃はザクの機体回復速度を遙かに上回り、やがて、モニターに最後の言葉を迸らせた。
『ALERT!EMERGENCY!DESTROYED!』
そしてまた、オレは愛機を失った・・・。

不慮の事故で愛機FZを失ったオレは、ハンガーの奥で眠っていた旧ザクを再び駆ることにした。
かつては自分の手足の如くしっくり馴染んでいた機体だったが、“最強のザク”の銘を冠する機体の後釜としては、どうしても物足りなさが残る。
オレは、機動性・剛性・攻撃力に劣るこの機体の特性を、腕を上げることでカバーするつもりだった。
そのために再び、旧ザクを荒野に走らせる。
そうだ。オレは、コイツと走ってきたんだ。手にするマシンガンも、背負ったバズーカも、コイツと共にある。
そしてそれらの殺戮兵器は、ただ祖国のために存在しているのだ。

友軍兵士で溢れかえっていたメルボルン周辺に比べ、この地はまだまだ友軍が少ない。
そのため、連邦のMSが市街部周辺地域まで頻繁に繰り出してくる。
友軍の絶対数が少ないということは、我々一人一人に課せられた使命もそれだけ重くなるということだ。
オレ達は、いつでも4機程度のMSを相手にしなければならなかった。

そして、運命の時は唐突に来る。
その日オレは、いつものようにMS操縦の実践訓練を、哨戒がてら行っていた。
ただ、いつもと違うのは、連邦のMS数がいつもより遙かに多かったことだった。
もちろん、オレ以外にも友軍機はいた。みんな、我が祖国ジオンのために戦っていた。
しかし、その日に限って、オレ達は一人あたり5~6機の敵を相手にしなければならなかったのだ。
おまけに、倒しても倒してもなお、ヤツらは僚機の屍を乗り越えて進撃してくる。
相変わらず建造物の谷間に挟まったままのオレは、色々と試行錯誤を繰り返しながら、どうやらそのまま眠ってしまったようだった。
ふと目が覚めてみると、ザクのコクピットにいたはずのオレは、なぜか地面に横たわっていた。
視点は違うが、同じ風景が眼前に広がっている。オレのザクがはまり込んだ場所に違いない。
ビルとビルの間はコクピットで感じていたよりも遙かに狭く、オレ自身も殆ど身動きがとれない。
そして、壁を削りながらこの場所に不時着したはずの、オレのFZは、忽然と消失していた。
周囲を見回しても、ザクの姿は、無い。
僅かに、ザクが削り取ったであろうビルの壁を確認できる。
夢ではない。夢ではないのだ。
だが、ザクは、一体どこへ?

ともすればパニックになりそうなくらい混乱した頭で、なんとかハンガーまでたどり着いた。
もしかしたら、誰かの手によって運び込まれているかもしれない。
オレは軍籍番号、氏名、階級を告げ、自機の格納スペースへと急いだ。
しかし、旧ザクが1機と回収用マゼラアタック1機が、オレの目に虚しく飛び込んできただけだった。
オレが眠ってしまっている間に、ビルのオーナーあたりが腹を立て、ザクを運び出してしまったのだろうか?
しかし、無いモノは無いのだ。
仕方なく、オレは旧ザクのコクピットに乗り込んだ。

一応、軍上層部には「我がMSの盗難の疑い有り、至急調査願いたし」と打電しておいた。
師匠から拝領した気に入った機体だったが、仕方がない。
旧ザクよ、オレは再びオマエと荒野を駆けよう。

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